日本人は金で動かない、という資本主義者にとっては悲しい現実
ここ数年は海外移住する人が続出しています。
私は現場系の不動産なので2~3週間の旅行の範囲で終わるのですが、
それでも2ヶ月に1回ほど海外へ旅行に出かけています。
海外に行けば行くほど、逆に日本のことがよく分かります。
数ヶ月前までは、本当にこの国の人民がほぼ全員、
白い布で鼻と口を覆うという、どの国でも見かけない、
おかしなカルト宗教にどっぷりハマっていたことをずっと嘆いていました。
最近は少しマシになってきたので私の義憤的な嘆きも幾分減りました。
今回は嘆きではないのですが、海外からはとても珍しい日本人の特徴について軽く述べます。
日本は、社会制度は資本主義であるものの、人民の意識は世界有数の社会主義です。
なお、革命的な理念を掲げる、清貧を良しとする平等思想ではなく、
不安崇拝というか、病的に神経質な責任恐怖症に起因する、
資本主義を嫌悪しているという意味での社会主義です。
誰ももう理解できないような極端に抽象的な表現となったので、
具体的に簡単に説明すると、
海外では拍子抜けするぐらい、たいていのことがお金で解決します。
良いことにも悪いことにもお金が力を発揮します。
例えば、アルゼンチンでは車で赤信号を待っている間、
突然、その辺の通行人が運転手の目の前に出てきて曲芸を始めます。
そして、その曲芸が面白かったらみんなチップを出します。
東南アジアや中国に限らず、先進国のどの国でも、
何か悪いことをして捕まりそうになったらすぐお金で許してもらえることが多いです。
中南米では警官が逆に金を要求してくることも多いです。
日本では何かのお礼にお金を出すことは卑しいことだとされますし、
逆に、どんなにお金を積もうが、警官も公務員もお店も企業も、お金では全く動きません。
具体的には、1,000円のサービスに感動して10,000円払ったら、
海外では喜ばれますが、日本では金持ちの人を除いて絶対に受け取ってもらえません。
もし何かで1,000円を盗んだのがバレてお詫びに10,000円払ったら、
海外では笑顔で許されますが、日本では余計に反感を買います。
決して買収されないのは悪くない文化だと思いますが、
WIN-WINの取引すら、極端な現状維持へのこだわりから一切受け付けないのは、
とても困った現代日本人の特徴だと思います。
そして、日本人がお金で動かないことの弊害は、空き家の取り扱いでも顕著に現れています。
不動産屋さんや優秀な経営者はお金が大好きなので、単純に儲かる場合はすぐに動きますが、
一般の人民は、お金をまるで糞尿やトコジラミのように執拗に毛嫌いしているので、
全く経済的に得することに興味を示しません。
少ない年金暮らしでまあまあ貧しいにも関わらず、
なかなか空き家を貸さない高齢者が圧倒的多数です。
人口減の次に、日本の街が空き家だらけである理由の一つです。
ただの空き家のオーナーだけでなく、
どんなに銀行からローンを組んで返済に四苦八苦しているような人でも、
外国人や、貧しい人や、刑務所からの出所者や、離婚したてのシングルマザーや、
障害者やペットを多数飼う人や、後期高齢者や、そして生活保護受給者など、
ボロくてもあまり文句を言わず住んでくれそうな人の入居を頑なに拒みます。
金持ちや成功者や優秀な経営者を除き、
ほとんどの日本の一般人は一切、金など求めておらず、
とにかく何かの責任が怖いのです。
起こり得ない義務から逃れたい、何千万分の一の確率でも不安なことは避けたい、
少しでも心配してしまうことはやりたくない、知らない人とは関わりたくない、
新しいことは拒否したい、儲かることは怖い、、、
だから現状のまま何も変えたくないと、ほとんどの日本の一般人は思うのです。
よって、こうした人たちを動かすには、「お金が儲かるから」ということを説明するのではなく、
「このままだと近隣に迷惑がかかる」「行政から通知が来ますよ」などといった、
不安とか心配の方を強調することが求められます。(written by 廃墟不動産投資家)