需要と供給の大幅なミスマッチが逆転した
2019年まで、京都に限定すれば私は常に満室経営できていました。
当時、地域紙に入居者募集の広告を出してみると、信じられないような状況になりました。
入居希望者からの電話が朝から鳴りっぱなしで、もちろん、すぐに決まっていたのは言うまでもないことです。
以前の入居者が部屋を汚したまま出ていって掃除すらしていない状態でも、何とか次が決まっていました。
2019年までは、単純に需要と供給のミスマッチが起きていたからです。
需要が100なら、供給は70とか80だったので、入居付けが簡単だったのです。
ちなみに2年前であっても、すでに空き家率が13%を超える状態であり、全国各地で家は大量に余っていました。
実質、家を探している人、つまり需要に対して、
募集されている家、すなわち供給のほうが明らかに上回っていました。
需要が100なら供給は130ぐらいでしたが、
「上場企業の正社員しか受け入れない!」「連帯保証人は59歳以下の親のみ!」「年収は800万以上!」
など厳し過ぎる条件を求めている貸主もまだまだ多かったため、
低年収で不安定な職の人はなかなか家を見つけられない状態でした。
また、私がいつも提供するような、
「老人、何歳でも可 ペット、何匹でも可 商売、何でも可 無職貯金無し可 仮釈放でも可 どんな病気も可」という供給は皆無でした。
戦後の家不足の時代のように、家をリリースすればすぐに決まっていたというわけです。
しかし、去年からのコロナ騒動により、まずインバウンドの壊滅によって新規の旅館・宿の開業が皆無となり、
しばらくして、飲食店を新たにオープンしようとする人も消えてしまいました。
コロナ騒動の前は、需要が100に対して実質の供給が70なので楽勝でした。
それが今は宿や飲食・事業所を除く住宅のみの需要のみとなってしまい、
完全に賃貸経営は供給過剰の状態です。
供給が100なら実質の需要が50か60ぐらいです。
「上場企業の正社員しか受け入れない!」「連帯保証人は59歳以下の親のみ!」「年収は800万以上!」
など入居希望者にもし従来の厳しい条件を突きつけるなら、供給は需要の5倍以上だと予想します。
もちろん、きれいな物件を安く貸せばかろうじて入居者は決まりますが、
それだと全然儲からないし、そうしたところに人を住まわせるべきでないと思います。
すなわち、超金余りの時代の到来により物件価格は高止まりしている状態で、
1000万以上かけて取得した物件を数万で貸すのはあまりに低利回りで下手な投資ですし、
だからと言って本来はボロアパートに住むべき家賃しか払わない人を、便利できれいでおしゃれな物件に迎えるのは、
賃貸というビジネスに対する罪であるように個人的には感じます。
需要の少ない世界で、ボロい物件にいかに満足して住んでもらうか、
今までの常識や慣例を強烈に、そしてエキセントリックに塗り替えるような知恵やアイデアが必要です。(written by 廃墟不動産投資家)
次回イベント(仮称:集落無料ゲットチャレンジツアー) 6/26(土)下関市 参加費3.8万