京都の宿の増え方がいかに凄まじいか
京都の中心地におけるホテル・旅館・簡易宿所などの宿の増え方が常軌を逸しています。
ここ1年、どの道路を通っても、次々に新しい宿が目に付き、
多くの空き家には「旅館業施設の計画の概要」という看板が貼られ、
空き地にも同じ表示が掲示されています。
数年前までは、1軒も宿が無かった通りに、
今では3軒に1軒ぐらいの間隔で新規のホテルや簡易宿所がオープンしています。
ほとんどの空き地は建設ラッシュで、
大通りには戸建てや店舗を数十軒買い取った広大な用地に巨大なホテルの計画が打ち出されています。
パーキングがどんどん閉鎖されて宿の建設用地と化しています。
また、よく観察すると、今まで普通の賃貸マンションだったのが、いつの間にかそのままの形でホテルに変わっています。
その傾向は驚くほどの変化です。
賃貸マンションや賃貸アパートが次々と旅館業の許可を得て宿となっています。
京都市のデータによると、3年前は2,000軒、2年前は4,000軒、去年は8,000軒、
と宿の開業は毎年倍々ゲームで増えているようです。
今年もさらに勢いが増し続けそうです。
私の肌感覚では、毎年3~4倍の勢いで増えているような気がします。
そこで、私が8年前に物件を借りて、宿として貸している、京都市中心部のあるエリアについて、
住宅がどのように変化していっているかを地図に記入してみました。
空=空き家
H=ホテル、旅館
H(確)=ホテル、旅館の予定地
民=民泊
店=その他店舗
F=未成年のいる家族
B=お婆さん一人暮らし
G=お爺さん一人暮らし
BO=お婆さんと息子
BG=高齢夫婦
O=中年男性
L=若い女性
8年前は空き家が多かったのですが、どんどんホテルに変わっていって、
今ではほとんどの空き家が、旅館運営予定者に買い占められています。
ここは1軒あたり1億ほどに物件価格が暴騰しています。
8年間でおそらく倍以上となっています。
そして、どの旅館経営者も、儲かって儲かって仕方がないような様子です。
私は、7.4万で借りてそのまま8.9万で貸しているのですが、
その人は1泊3万に設定して、毎月15~25泊で稼働しているそうです。
私の家賃設定がいかにもったいないことであるかがよく分かる数字です。
ただ、よくこの地図を見てみると、これは世界で1、2位を争う超人気観光都市であるからこそ、
空き家がどんどんホテルになって街が賑わっているのですが、
これがもし地方であれば、空き家と老人だらけの単なる限界集落です。
住んでいるのはB(お婆さん一人暮らし)、BO(お婆さんと独身の息子)、BG(高齢夫婦)ばかりで、
ホテルがなければ街は著しく寂れてしまっているはずです。
F(未成年のいる家族)も減っていて、そもそも若い人を表すアルファベットを作る必要が無かったほど、
住人たちの高齢化が進展しています。
ビジネスとしては、大都市ではとにかく空き家をどんどんホテルとして貸したり運営したりすれば稼げることとなります。
賃貸において「普通に住む人を探す」のは時代遅れとなるのかもしれません。
10年後は、もっと想定できないような変化が起きている可能性が非常に高いです。(written by 廃墟不動産投資家)