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悪は敵ではない

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私は常々、「悪は敵ではない」という信条を持っています。

 

 

世の中には悪とされる様々な所業が存在します。

 

 

例えば、オレオレ詐欺は誰もかばうことのできない純粋な悪です。

 

 

しかし、それよりも駆逐すべき敵が世の中に蔓延しているのです。

 

 

いきなり人を殴るような物理的な悪は現代日本において極限まで消滅しましたし、

人をだましてお金を奪ったりするような経済的な悪も、気を付けていればさほど多くありません。

 

 

暴力や詐欺のようないわゆる悪ではなく、本当の敵は「無駄」にこそあると考えるのが私の哲学です。

 

 

その論理について説明させてください。

 

 

悪の本質は、奪うことです。

 

 

つまり、奪われたほうは損しますが、奪ったほうは得します。

 

 

無駄の本質は、無益です。

 

 

つまり、無駄を仕掛けられたほうは損し、無駄を仕掛けたほうも損します。

 

 

分かりやすく単純に例えてみます。

 

 

飢餓のときの唯一の食糧であるバナナ1本を力づくで奪われたとします。

 

 

オレオレ詐欺を働くような悪い若者に、そのバナナをうまそうに食われてしまいました。

 

 

その悪者は、空腹を脱しました。

 

 

これが、悪の本質です。

 

 

一方、飢餓のときの唯一の食糧であるバナナ1本を、

バナナ食の蔓延防止のため世間の空気から自然に発生した異端審問官により没収されたとします。

 

 

そのバナナはすぐに糞尿が満載のゴミ収集車に放り込まれました。

 

 

自分も異端審問官も、ずっと腹が減ったままです。

 

 

これが、無駄の本質です。

 

 

神仏の目線から俯瞰して見ると、バナナを奪われた自分が−1で、バナナを奪った悪者が+1なので、

 

プラスマイナス0、つまり、この世からバナナは失われていません。

 

 

しかし、異端審問官の場合、バナナを奪われた自分が−1で、バナナを奪った者は±0なので、

マイナス1、つまり、この世からバナナが純粋に失われてしまいました。

 

 

悪よりも悪いのは「無駄」なのです。

 

 

無駄の大元は、世間体と常識と、それに基づく同調圧力です。

 

 

悪意なき悪こそ恐ろしく、善意や正義感を持った悪こそ本物の狂気です。

 

 

歴史的にも、盗賊よりも魔女狩りのほうが殺し方は残酷でした。

 

 

私利私欲で悪事を働いた若者より、 思考が停止した正義感で無駄な善行を続ける異端審問官こそ、 真に征討すべき対象なのだと考えます。(written by 廃墟不動産投資家)

 

 

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